なぜわかりあえないのか
たぶん、世界が違うのだと思います。地球はひとつだけなので現実もひとつしかないと思うのがたぶん間違いでしょう。私の現実とあなたの現実が同じかどうか確かめる手段はありません。人それぞれに世界があると見るのが良さそうです。マルクスガブリエルさんもそう言ってます。と思います。
ニーチェによると「神は死んだ」ので、同時にひとつの世界、ひとつの正義も不在になりました。人が正義を語ることはできなくなったのです。正義を語りたければ人を超えてかかる必要があります。あなたの世界とは違う私の世界に正義はあります。しかしそれはあなたの世界の正義ではありません。あなたと私に共通の世界に正義はなくて、あるのは私とあなたの立場です。共通世界で正義を語るとき、それはただ単に自分の立場の表明にすぎません。人にとって立場はとても重要です。命そのものよりも重要と言えるでしょう。立場のために人は死ねるのです。人はそれを正義と言うのです。立場の戦争であれば、いくら正義をぶつけ合ってもわかりあえる日はこないでしょう。
男女雇用均等法が開始されたとき、職場でそれについての話し合いが行われました。ある女性社員が「同じ仕事なのになぜ給料が違うのですか?」と質問しました。部長は答えに困りました。答えられないですよね。彼女の給料を増やすには部長の分を削るしかありません。部長ひとりが慈悲深ければ済む話でもありません。人はこれを普遍的に行うことができるのか?それが問題です。もし問題を正しく把握することができればいつかわかりあえる日がくるのかもしれません。
登録:2021-08-14 11:37
更新:2021-09-01 17:49
by りんご89円